Sollers Consulting株式会社(本社:ワルシャワ)主催による「Innovation in Insurance」をテーマとしたカンファレンスが、2019年1月14日、ワルシャワのコペルニクス科学センターにて開催されました。14カ国から300を超える保険業界のエキスパートが集い、保険業界におけるデジタリゼ-ション促進に伴う今後の課題や挑戦について意見を交わしました。
世界各国の保険会社は、テクノロジーの発展により根本的な変化の時代に直面しています。また、政情不安や厳しい市場環境などの社会環境の変化に伴い、新たな顧客のニーズへの適応が求められています。本カンファレンスでは、ヨーロッパを中心に様々な国の保険業界の代表者が、これらの課題にどう対応していくべきか、ビジョンを共有しました。 「業界リーダーの大多数は、パートナーシップが保険会社のビジネス戦略に非常に重要な意味を持つようになると確信しています。」と語るのは、Sollers Consulting取締役、Michał Trochimczuk(ミハウ トロヒムチュク)。「保険会社はデジタルエコシステムの一部であるべきです。」「今後は、銀行、不動産、通信事業、航空会社、自動車メーカーや小売業者など他の業界関係者との連携を可能にする、業界横断的なバリューチェーンの一部として自社製品やサービスを提供する必要があります。」と見解を述べました。 また、保険会社のビジネス成長の2つのモデルとして、「既存の企業のデジタル化」と「デジタルエコシステムの利点をすぐに享受するための新しいベンチャーの創造」を提示しました。加えて、「保険会社の98%が、主に保険以外の取引の一部として販売される保険が増加すると予想しているにも関わらず、その多くはエコシステムに適応する準備ができていません。」と業界の現状についても言及しました。
現代のコアシステムは保険会社により多くの選択肢を与える
現代のコアシステムは、保険ビジネス成功への重要な鍵の一つとなっています。 2018年には保険会社の多くが自社のコアITの再構築に踏み出しました。パネルディスカッションでは、 PZU社役員Roger Hodgkiss (ロジャー ホッジキス)氏、 VIG 社ITグループ長Ryszard Dyszkiewicz(リシャルド ディシュキエヴィッチ)氏、 Guidewire Software 社北ヨーロッパ営業部長Niels Zijderveld(ニールズ ザイデルフェルド)氏、Tia Technology社上席福社長 Carsten Vraa-Jensen(カーステン フラー・イェンゼン)氏 により、なぜコアシステムがこれまで重要なファクターになったのか、そしてどのようにそれらシステムがイノベーションの促進を後押しするのかについて意見交換が行われました。 ホッジキス氏は「時代遅れのシステムを使用しつつ、プロセスや商品を変えることは困難です。時代に適応した標準的なシステムを運用することで、顧客データのより優れた活用と顧客エクスペリエンスの向上が可能となります。」とのコメントを、ディシュキエヴィッチ氏は、「企業内に既に独自ソリューション構築と運用の成功実績を持つITチームがない限りは、企業独自でソリューション開発を行うのは回避するべきです。」と意見を述べました。 保険は常にデータ主導型の事業ですが、今日の企業のデータの扱い方は劇的に変化しつつあります。ビッグデータの利用、そしてデータ分析、機械学習や人工知能等のツール作成のために、コアシステムプロバイダも保険会社同様にテクノロジーへの投資を重要視しています。
インシュアテックにより広がるAI活用の可能性
Insurtechsのセクションでは、4企業よりAIと他のデータ関連技術との連携に基づいたソリューションの紹介が行われました。「Sollers Consultingは、マサチューセッツ工科大学エンタープライズフォーラム (MIT EF) ポーランド支部のスポンサーの1員として、保険業界とInsurtech業界との協働関係構築の支援を行っています。」そう語るのは、Sollers Consulting 取締役Grzegorz Podleśny(ジェゴシュ ポドレシニ)。ポーランド発のインシュアテックスタートアップ Smabbler 社からは、AI技術を利用した書記言語の高レベルな解釈と翻訳のソリューション、SpaceKnow 社は、AIの衛星画像の高度認識、Runvido社は、拡張現実感に基づくインタラクティブ画像、そして、Boomerun 社からは、保険商品の価格設定やショッピング割引にも適用可能な、自社のウェアラブルデジタルデバイス用のデータツールについて、プレゼンがありました。トロヒムチュクは、「インシュアテックスタートアップや既存企業によるイニシアチブはたくさんあります。それは単なる誇張宣伝などではなく、戦略的研究機関の推定でも裏付けられるように、ビジネス上不可欠なものです。」と、インシュアテックの重要性を強調しました。
加速する金融機関のイノベーション
顧客との関係改善、顧客満足度向上ため、保険業界各社はバリューチェーンの全ての側面で革新を進めようとしています。Sollers Consultingチーフ・カスタマー・オフィサーJarosław Bucoń (ヤロスワフ ブツォン)とMarcin Grabowski (マーチン グラボフスキー)は、営業の観点より、戦略とプロセスの革新について報告を行いました。ブツォンは最後に「保険会社は、財政及び顧客のパフォーマンスに最も関係のあるプラクティスに集中し、自社組織の所謂デジタルDNAを構築する必要があります。」と締めくくりました。 より多くの保険会社が支払請求処理業務にデジタリゼ-ションの焦点を置いている現状に関連し、ドイツのVHV社と英国発のグローバル保険会社Beazley社からは、自社の支払請求処理プロセスをどのように再構築し現代のニーズに合わせ適応させてきたのかの講演が行われました。 VHV社プロジェクトマネージャーDr. Adam Melski (アダム メルスキ)博士は、「アジリティーは有用な特性です。デジタル化がもたらす変化をただ受入れるだけでなく、その変化を管理することに注力すべきでしょう。」とコメントを残しました。 さらに、Beazley 社グローバルクレームプラットフォームリードJeffrey Crawford (ジェフリー クロフォード)氏とクレームオペレーションマネージャーSteven Flood (スティーブン フラッド)氏からは、同社のビジネス変革とイノベーションの主要分野について、Basler Switzerland社プロダクトオーナー Branislav Siarsky (ブラニスラフ シアルスキー)氏からは、スイスの保険会社がデジタルエコシステムのための技術基盤をどのように構築しているか、そして、Globality Health 社IT&プログラムマネージャーCyrille Dersch (シリル デルシュ)氏からは、ルクセンブルクを拠点とするミュンヘンの再保険子会社が、デジタル時代のIT提供プロセスに向けどのような準備を行っているのかについて、講演が行われました。 Santander Consumer Bank プロダクトオーナーMałgorzata Krauze-Kulewska (マウゴジャータ クラウゼ・クレフスカ)氏は、保険販売に向けた銀行業界の革新的なアプローチをテーマに、プレゼンを行いました。同氏には今年、Santander Consumer Bankを代表し、優れたイノベーションプロジェクトに贈られるSollers Awardを贈らせていただきました。受賞理由として、Santander Consumer Bankの大胆なビジネスデザイン見直しへの決断、アジャイル開発手法導入後の迅速かつ質の高いプロジェクトの実現が述べられました。 本プロジェクトは、新たなビジネス手法導入後直後から売上高が向上し、成功を収めています。
今年で7度目の本カンファレンスは、多国からの参加者の方々による活発な意見交換が行われ、盛況のうちに幕を閉じました。これは、ポーランドの保険業界では前例のない最大規模の国際カンファレンスです。Sollers Consulting 取締役Marcin Pluta (マーチン プルータ)は、「多くの保険会社が、ビジネス改善のためデジタル技術のソリューションを模索している中、本カンファレンスが業界関係者の方々にとって非常に有意義なフォーラムになったことを嬉しく思います。」と最後に感謝の意を表明しました。