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Better Digital Future-第8回保険×デジタリゼーションカンファレンス「Innovation in Insurance」開催
1月 20, 2020

2020年1月20日 ワルシャワ(ポーランド): ソラーズコンサルティング(以下、ソラーズ)は、今年で第8回目となる「Innovation in Insurance」カンファレンスを開催しました。欧州諸国や日本から330名を超える保険業界のエキスパートの方々が集い、テクノロジーがもたらす変革の今後の展望や課題について、各国の事例に触れながら、議論や意見交換が行われました。

現在、世界の保険業界でITへの投資増加が顕著です。IT基盤を時代にあったものに刷新することで、顧客を中心においた新たなビジネスモデル構築の実現が求められています。ソラーズ主催の本カンファレンスでは、アクサ損害保険会社(日本)、チューリッヒ保険会様(ドイツ)、サガ社(イギリス)、ビーズリー社(イギリス)、ゼネラリ保険会社(ポーランド)、ドイツ有数のインシュアテック企業のフライデー社など様々な国より登壇者をお招きし、各国における保険業界の動向についての見解を共有いただきました。

テクノロジーを通じた顧客との信頼関係の構築

ワルシャワ、コペルニクス科学センターで開催された2日間に及ぶ本カンファレンスは、ミハウ・トロヒムチュク(ソラーズコンサルティング、共同創立者兼マネージングパートナー)のオープニングキーノートにて幕を開けました。トロヒムチュクはその中で、「今日のテクノロジーはバリューチェーンのあらゆる領域に新たな可能性をもたらしています。しかし、柔軟性に欠けるレガシーシステムにより、それら可能性を生かす道が阻まれているケースが多々あります。」と指摘しました。そして、変革を実現するには既存のビジネスのやり方を再考することが重要だと強調した上で、「新たな商品やビジネス戦略の創出には、顧客へのアプローチ方法や顧客そのものを全く新しい視点から捉えることから取り組むべきなのです。」と述べました。

トロヒムチュクはさらに、2019年の世界全体のプロテクションギャップが1.2兆米ドルに到達したことを受け、顧客中心主義思考と顧客との信頼関係構築の重要性に言及しました。この統計は保険損害と経済損失の著しい差を示しており、これは社会経済に深刻な悪影響を及ぼしています。

顧客との信頼構築には、革新的な技術を活用し、商品の簡素化、付加価値サービスの確立、プロセスの合理化、コミュニケーションの透明化などの実現が要となります。保険会社には、単なる保険金の支払人としてではなく、顧客それぞれの人生に影響を与えるライフパートナーとしての役割が期待されるようになっているのです。

各国ごとの視点とベストプラクティス

本カンファレンスの登壇者の方々には、事例紹介、キーノート、そしてパネルディスカッションを通じ、保険業界が直面しているグローバルな課題に関する見解および各企業のプロジェクトから得た知見をご紹介いただきました。

チューリッヒ保険会社(ドイツ)CIO、ドロテ・アペル氏によるキーノートでは、ドイツにおける保険業界のデジタル化の展望について見解が述べられました。

ゼネラリ保険会社(ポーランド)CEO、アンドレア・シモンチェリ氏は、現在の業界動向の説明に加え、ゼネラリ社がイノベーションを通じそれら変化にどのように対応しているのかをお話されました。

アドミラル社(イギリス)ITデリバリー部長のダン・ルイス氏、プロジェクトマネージャーのカール・ジョーンズ氏からは、高性能のIT技術を供給しつづけるための秘訣が共有されました。

アクサ損害保険会社(日本)からは二村 祐司氏(ダイレクトオペレーションシニアマネージャー)、下島 英世氏 (カスタマー戦略シニアマネージャー)、畠山 源太氏(ソリューションデリバリーシニアマネージャー) の3名が、日本初のアジャイルによるガイドワイア導入プロジェクトを通じたビジネス変革について、また、異なる文化圏の壁を超えたソラーズとの共同プロジェクトの成功要因についてお話されました。

サガ社(イギリス)変革プログラムディレクター、マシュー・ガーニー氏は、顧客と一体となって未来を築くことを目的とした変革プログラムのこれまでの道のりを語られました。

ビーズリー社(イギリス)CIO、ベン・スペンサー氏は、特殊保険会社がデジタル変革にどう適応し、どのような戦略的目標を追求しているかを中心に語られました。

インシュアテック企業のフライデー社(ドイツ)CEO兼共同創立者クリストフ・サムウェアー氏は、1年という短期間でドイツトップのモバイル保険プロバイダーとしの地位を獲得するため、スケーリングを戦略の中心においたIT基盤をどのように構築したか、説明されました。

ソラーズのプロダクトマネージャー、フバート・ムォジャノフスキーは、レガシーシステムがデジタル化の足枷とならないよう、目的に応じ適切にテクノロジーを活用するための戦略を説きました。。

保険業界のクラウド化

世界各国の保険会社は、変化する顧客ニーズに対応するため、また業務効率化のためにクラウドアプリケーションに投資しています。パネルディスカッションでは、マーチン・プルータ(ソラーズ)のファシリテーターの下、アンネマリー・ブルフ氏(ガイドワイア社、グローバル戦略アドバイザリーディレクター) 、トーヴァルドゥル・フレミング・ジェンセン氏(TIAテクノロジー社、上席副社長)、ラルフ・ボヤラ氏(ファダータ社、COO)を壇上にお招きし、保険業界の今後の課題と可能な選択肢について議論が行われました。

各システムプロバイダーの代表者の方々の間には、保険会社が適切なインターフェイスを介して迅速にネットワークを構築し、ITアーキテクチャを柔軟にすることが重要であるという点において、共通の認識を確認しました。

ガイドワイア社のアンネマリー・ブルフ氏は「多くの保険会社が、クラウドへの投資を、資源容量を戦略的イニシアチブに集中するための機会と見なす傾向が世界的に見られます。」と業界の傾向を説明しました。「ほとんどの保険会社はクラウドを選択肢として検討しており、その過程で既存システムのランドスケープを整理・一掃することは理にかなっています。」とコメントを寄せたのはTIAテクノロジー社のトーヴァルドゥル・フレミング・ジェンセン氏 。加えて「エンドユーザーは保険会社に対しより迅速で直観的な対応への期待をますます強めています。」と述べました。

「クラウドコンピューティングは、変革戦略を成功させるための重要な柱です。そして、 新しく拡張性に富んだビジネスモデルを実現し、AIやビッグデータなどのテクノロジーを適切に使用するための道を開きます。 高度な拡張性が将来の成長の重要な切り口といえます。」(ソラーズ、マーチン・プルータ)

商品中心主義から顧客中心主義へのシフト

また、カンファレンス会場の一部では、ソラーズの独自商品のオムニチャネルプラットフォーム「RIFE」の展示が行われました。「RIFE」は保険会社および銀行向けに開発され、シームレスでパーソナライズされた顧客体験の提供、オムニチャネル戦略の管理を可能にすることで、CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させることが可能となります。トロヒムチュク(ソラーズ)は、 「RIFEは、保険会社、銀行のお客様が、シンプルで分かりやすく、顧客志向の商品・サービス提供ができるようサポートします。」と説明します。保険販売の将来は、eコマース同様のアプローチを追従しており、パーソナライズされた顧客体験、クロスセル販売および複数の外部パートナーとのエコシステム、が鍵となります。

インシュアテック企業のビジネスモデル紹介

カンファレンス後半のインシュアテックピッチでは、それぞれのインシュアテック企業が革新的な自社製品とソリューションを発表しました。

ワルシャワ発のテンサーフライト社事業推進部長ヤクブ・ドリヤス氏は、航空・衛星写真、ストリートビューの画像の即時分析により、分かりやすくシステム化された物件データを保険会社に提供するソリューションを説明しました。

グラスボックス・デジタル社からはEMEA地域営業&ビジネス開発担当副社長のエラ・ロジンスキー氏が、ウェブ・モバイル顧客のデジタルライフサイクル全体を管理、最適化するソリューションを用い、保険会社が顧客のニーズをより深く理解が可能になる方法を紹介しました。

ロンドンに拠点を置くブリスク社の共同設立者ジェームズ・ラッセル氏は、中小企業のビジネスを支援するため、データ分析とAIアシスタンスを通じ、企業リスクや企業にとっての有益な機会を分析・特定するソリューションを披露しました。

ドローン向け飛行距離連動型保険を提供するロンドン拠点のフロック社の共同設立者アントン・ペニャ氏は、リアルタイム分析および保険引受プラットフォームの導入により、外部データと自社データの双方を、保険リスクの特定、定量化と価格設定に活用する方法についてお話になりました。

ミンテAi社(ポーランド)のCEOロムアルド・パプジツキ氏は、医療関連の保険金請求主題査定をAIの使用により自動化することで、どのように透明なプロセス、迅速な支払い処理、そして運用コストの削減が実現可能か、を紹介しました。

最後にはジェゴシュ・ポドレシニ(ソラーズ、取締役兼パートナー)が、「インシュアテックは、バリューチェーンのあらゆる領域で革新的なソリューションを開発しています。インシュアテック企業と既存の保険会社との連携は双方に利益をもたらし、非常に有益な戦略であると考えます。」とのコメントでセッションを締めくくりました。

ソラーズはインシュアテックコミュニティーとの関わりも強化しており、 MITエンタープライズフォーラムの会員として、インシュアテック企業に対し、最適なビジネスモデルの確立を支援しています。2019年には、こうした働きが評価され、DIA Top 100 InsurTechおよびFintechGlobalのInsurTech100に選ばれました。

ソラーズコンサルティング創立20周年記念

本カンファレンスは、ソラーズ創立20周年記念行事の幕開けとも言えるイベントです。

「過去20年に渡り、ソラーズは世界各国70以上の金融機関のもとで、基幹システムの導入とデジタル変革をサポートしてきました。技術面での支援だけでなく、お客様が市場動向や業界の環境変化に柔軟に対応できるようなIT・ビジネス基盤の構築までを包括的にコンサルティングすることをミッションに、お客様にとって信頼できるパートナーであり続けることを目指しています。」マーチン・プルータ(ソラーズ)はまた、「デジタル変革は、単にテクノロジーを使用して他社より抜きん出ることではありません。デジタル変革とは長期的なプロセスであり、ビジョン、様々な試行錯誤、継続的な開発と適切なリーダーが必要です。」「私たちは、今後20年間も、より良いデジタルの未来に向けたお客様の課題に、共に向き合いサポートさせていただけることを願っています。」と将来に向けての豊富を語りました。

優れたデジタル変革プロジェクトに贈られるソラーズアワード

ソラーズ創立20周年記念行事の一環として、今年のソラーズアワードは複数のプロジェクトに授与されました。チューリッヒ保険会社(ドイツ)は、デジタル変革の先駆的な取り組みに対し受賞されました。アクサ損害保険会社(日本)はアジャイルを採用したビジネス変革の成功を高く評価されました。 タランクス(ポーランド)社の子会社であるワルタ社は、複雑な組織構造が足枷となる中、最速で保険金請求処理業務の変革を達成した業績が讃えられました。 ビーズリー社(イギリス)は、国内でも未だあまり例のないアジャイルの保険金請求処理業務変革プロジェクトの成功を表彰されました。ゼネラリ社(ポーランド)は、業務全体のアジャイル変革達成の業績に対し、賞が贈られました。 また、PZU社(ポーランド)はCEE(中東欧地域)におけるデジタル変革のパイオニアとしての業績を表彰されました。「このアワードは、お客様の素晴らしい功績を表彰するものです。お客様のビジネスの成功が私たちの成功です。」(ソラーズ、マーチン・プルータ)

16カ国から330名のゲスト

本カンファレンスでは、16カ国から330名の業界エキスパートの方々が来場されました。次回は2021年初頭にワルシャワで開催されます。

「毎年、ワルシャワでヨーロッパを始め様々な国から保険会社の方々をお迎えすることができ、とても光栄です。 ご来場のお客様、パートナーの皆様に心より感謝申し上げます。来年のカンファレンスでも皆様にお会いできることを楽しみにしています。 」(ソラーズ、プルータ)

カンファレンス2日目にはソラーズ本社にて、革新的なデジタル変革に役立つ実践ワークショップが開催されます。 保険業務における様々なデジタル化の可能性、アジャイル組織の作り方、保険基幹業務システムや DevOpsの最新トレンドなど、様々なプログラムをご用意しています。