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独Basler社、損害保険業務におけるルールベースの自動化
10月 21, 2022 Basler社, お客様, プロセス・オートメーション, 基幹業務システムの導入 , 事例紹介 , プロセス・オートメーション, 基幹業務システムの導入

お客様について

Basler社(ドイツ)はBaloise保険グループ(スイス)の一員であり、2021年の事業規模は13億ユーロに達しています。 約1,500人の従業員が、お客様や提携パートナーのニーズにフォーカスしたサービスの創出を目指しています。 Baslerブランドは、安心感、シンプルさ、パートナーシップをメインバリューとし、 顧客志向のサービスと革新的な商品・サービスを通じてお客様の想いに寄り添い、安心を提供します。本社の他にそれぞれ損害保険と生命保険のコンピテンスセンターを設け、サービス力の高い個人顧客保険事業と並行し、 引受に関する高度な専門性を持つ品質志向の法人顧客保険事業も展開しています。革新と進歩に対するオープンな姿勢は、デジタル変革への旅路において、競合他社に対する同社の優位性の一つです。

プロジェクト概要

Basler社では大規模なIT改革が進行中で、全損害保険事業領域において、レガシーシステムから新しい基幹業務システムへの刷新を順次行っています。 基幹業務システムには、ガイドワイアソリューションのInsuranceSuiteを採用しています。新システムの導入は、デジタルプロセスの効率化に向けた最初の大きな一歩となりました。 同社は、ソラーズのエキスパートの支援のもと、ガイドワイアのPolicyCenter、BillingCenter、ClaimCenterに加え、ContactManagerとDataHubを含むInsuranceSuite全パッケージを導入しています。

2021年には、自家用自動車保険の最初のリリースを行いました。結果、市場変化への迅速な対応、APIを通じた提携パートナーとのよりスムーズなシステム連携や、ビジネスプロセスの効率化を実現することができました。 さらに同社は複雑な実装と並行して、旧システムからの保険契約および保険支払いデータの移行も成功させました[1]。 本プロジェクトは、その規模と成果から、ドイツの保険業界における最も注目すべきガイドワイア実装事例の1つと市場でも認識されています。

オートメーションの効果

  • ミリ秒単位で意思決定が行われ、従来手作業で行われていた業務プロセスの処理時間が大幅に短縮されました
  • ルールベースの意思決定により、意思決定の透明性が向上しました
  • 明確なルールに基づいたプロセスにより、手作業によるミスの発生率が大幅に減少しました
  • 大半の意思決定が自動的に行われるため、アンダーライターは最も重要な案件に集中することができ、効率性の向上により、全体的な業務運営コストの削減を達成しました

オートメーションの具体的事例

システム導入と同時に、ソラーズは社内のワークフローやプロセスエンジンを使って、ビジネスプロセスの自動化支援を進めています。下記では、PolicyCenterの内外で実行されているオートメーションの例を取り上げます。

1. 保険引受

Guidewire PolicyCenter 10に搭載されたビジネスルール機能により、4つの商品に対して約100のアンダーライティングシナリオを定義しています。 この場合、アンダーライターが保険対象となるリスクを定義し、長年の経験を有益に活用することができます。引受シナリオを定義することで、日々の意思決定は引受案件に対するパラメータベースのトリガーとルールベースにより瞬時に行われ、アンダーライターは最も重要な案件に集中することができます。これら引受業務のオートメーションは、新規契約、契約変更、更新の全プロセスをカバーし、アグリゲーターや第三者代理店を含む、引受業務に関わる全ての販売チャネルを網羅します。

同社では、新契約時のリスクの評価の際、通常の入力データだけでなく、API連携を利用し、外部のクレジットスコアチェックを実施しています。 これは、個人顧客の新規保険契約締結時の詐欺や金融リスクへの対策になります。もし顧客の信用評価が高くない場合、システムによって必要な補償内容の変更(補償額の制限など)が要求されます。人的な介入が必要な個々の案件については、再割当の処理も必要なく、自動的に異なる引受部門に分配されます。振り分け条件は、担当者、案件の種類や競ってされたトリガールールに依存し、該当リスクへの対応が可能な引受人に引き継がれます。

 

2. 解約・延滞時の対応

同社で最もオートメーション率の高いプロセスの1つが解約業務で、 様々な外部・内部システムからの解約トリガーが自動的に処理されています。

自動解約プロセスがトリガーされた場合、PolicyCenterは、受信した情報に基づき、自動解約プロセスを実行できるか、または顧客情報の精査など特別なアクションが必要かを決定します。 これには、トリガーの起源、ポリシーのステータス(キャンセル/アクティブなど)、解約理由、および追加データなどが参照されます。

自動化ロジックは、受信データに基づいて、どのタイプのトランザクションが実行されるかを認識します。例えば、 契約満期時における解約、更新処理後の解約、更新予定日前の解約あるいは契約期間中の解約など、異なる解約の形態に応じた自動処理が可能です。このロジックには事前の解約請求期間の確認も含まれています。期限を過ぎた場合、解約は自動的に拒否され、その情報を記載した文書がお客様に送付されます。また、解約期限に影響のある要素として、保険料調整の確認も機能に含まれています。

これらの実装の際には、可能な限りオートメーションを利用して顧客管理の負担を軽減することを意識し、それぞれの商品に対してあらゆる可能性を検討しました。 

将来への展望

Baslers社における基幹業務システム刷新は、より大きなデジタル変革戦略の一環であり、ビジネスプロセス・オートメーションのさらなる取り組みが計画中、またはすでに進行中です。 例えば、データ入力、データエンリッチメントによるプロセス改善などが挙げられます。これには、基幹システム内での意思決定やワークフロー処理だけでなく、BPMSを使用した基幹システム外での処理も含まれます。さらに、機械学習やAI機能を使ったより複雑な案件処理のオートメーションも計画中で、同社におけるDX改革を次のレベルへと押し上げることでしょう。

まとめ

大規模な基幹システムの導入において、Basler社は、OOTBの機能に頼るだけでなく、その機能性を最大限に応用・活用し大きな効果を上げるべく、試行錯誤を続けながら着実に変革を進めています。同社がその過程で採用した新たなコンセプトー無駄のない組織とアジャイルな考え方ーで、非常に複雑なシステム実装プロジェクトを成功裏に収めることができました。

有効なオートメーションについての詳細な情報はこちら: Prozessautomatisierung
基幹業務システム導入についての詳細な情報はこちら: Kernversicherungssysteme